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CKD TECHNICAL JOURNALCKD技報

CKD
TECHNICAL
JOURNAL
2026 Vol.12

空気消費量を75%削減する
パルスブロー技術 Pulsed Blow Technology That Reduces Air Consumption by 75%

佐藤 弘明
  • 佐藤 弘明Hiroaki Sato
  • 機器事業本部 Components Business
    Division
陳 衍磊
  • 陳 衍磊Yanlei Chen
  • 機器事業本部 Components Business
    Division

 SDGsやカーボンニュートラルへの貢献意識の高まりから、生産現場では空気圧機器の省エネルギー性の向上が求められている。一般的な工場において、圧縮空気を作り出すコンプレッサーの消費電力は、工場全体の消費電力の20〜30%を構成しており、ブロー用途が圧縮空気全体の70%を占めると言われている(Fig. 1-1)。さらに新興国や開発途上国では、労働集約型の工場で多くの作業者が、エアブローの作業(異物吹き飛ばしなど)に従事している。当社は、空気圧機器メーカーとして「ユニットタイプ」と「ガンタイプ」(Fig. 1-2)でブロー工程にアプローチすることで、世界規模での省エネ、CO₂削減に貢献できると考え、本稿では独自の空気圧バルブ技術を応用したパルスブロー技術を紹介する。

With growing awareness of contributing to the SDGs and carbon neutrality, there is a growing need to improve the energy efficiency of pneumatic components at production sites. In a typical factory, the power consumption of compressors that produce compressed air accounts for 20% to 30% of the total power consumption of the factory, and it is said that blow applications account for 70% of the total compressed air consumption (Fig. 1-1). Furthermore, in emerging and developing countries, many workers in labor-intensive factories are engaged in air blow operations, such as removing foreign matters. As a manufacturer of pneumatic components, we believe that we can contribute to energy conservation and CO₂ reduction on a global scale by approaching blow processes with our “unit type” and “gun type” pulsed blow valves (Fig. 1-2). This paper introduces the pulsed blow technology that utilizes our unique pneumatic valve technology.

工場内の圧縮空気使用量の内訳 Fig. 1-1 工場内の圧縮空気使用量の内訳
パルスブローバルブBNPシリーズ Fig. 1-2 パルスブローバルブBNPシリーズ

1. はじめに

 生産現場などで圧縮空気の大半を消費する「ブロー作業」において、放出するエアを任意の間隔で間欠させることにより、圧縮空気の消費量を削減できるパルスブローバルブは、内部に受圧面積の異なるエア駆動の切替えバルブを採用することで、電気レスで最適なパルスを発生させ、かつブローの威力を損なわずに圧縮空気の消費量とコンプレッサー電力量を最大75%削減できる。導入または、既存のブロー設備を置き換えるだけで、年間のCO₂排出量を1台あたり約1.31t削減できる。コンパクトかつ調整が簡単で導入しやすいため、世界の生産現場で省エネ、CO₂削減に貢献できる商品である。

2. 省エネ、省資源技術の紹介

2-1 電気レスを実現するパルス方式

 ブローのON、OFFを切り替える主弁と主弁を動作させるためのパイロット弁で構成しており、スプールの動作で複数の流路を切り替える構造を有した当社の長寿命弁を、分割された2つの弁として用いることで省スペース化と耐久性を両立している。ブローエアの一部をニードル弁を通してパイロット側へ入れることで主弁部がON、OFFを繰り返し、パルスエアを発生させている(Fig. 2)。これにより、電気レスを実現するパルス構造を確立した。

内部動作① Fig. 2-1 内部動作①
内部動作② Fig. 2-2 内部動作②
内部動作③ Fig. 2-3 内部動作③
内部動作④ Fig. 2-4 内部動作④

2-2 エア削減効果を生むOn-Duty比

 初期設計(特許第7569745号)では、ピストン室へ向かう流路に、給気のみを絞るニードル弁と排気のみを絞るニードル弁を追加した。それぞれのニードル弁を調整することで給気時間と排気時間を調整し、On-Duty比と周波数を調整する構造だったが、ニードルの調整によってはOn-Duty比が高くなってしまい、十分なエア削減効果が得られないことや、On-Duty比を変えずに周波数調整を行うためには2本のニードルをそれぞれ調整しなければならず、周波数調整が難しいという問題があった。
 現在の設計(特願2024-073671)は、On-Duty比をピストンとスプールの受圧面積の差で設計している。設計・試験を通して、ピストンの受圧面積が大きい程On-Duty比が小さくなること、ピストンの受圧面積:スプールの受圧面積=4:1のときOn-Duty比が約25%、ピストンの受圧面積:スプールの受圧面積=2:1のときOn-Duty比が約50%になることがわかった。これにより、On-Duty比調整にニードルを用いる必要がなくなり、誰が使用しても安定した省エネ作業が実現できる。(Fig. 3

受圧面積と圧力比の関係 Fig. 3 受圧面積と圧力比の関係

2-3 軽量化と強度を両立した外装デザイン

 ベトナムからの開発要求を受け、本品をブローガンとして利用するためのケースをデザインした。東南アジアは開発途上国ということもあり、体の小さな女性が働く労働集約型工場が多い。そのため、小さな手でも握り易いコンパクトなケースサイズ、保持し易いポジション、軽い力でも操作できるレバーを中心に設計を行った。作業者が直接手にするハンドツールでは、各自でパルス間隔の設定変更を行うと省エネ効果にバラつきが起こる。本品では調整ニードル部にスライド式のカバーを取り付けることで、変更操作を抑制し、同時に万が一落下した際のニードルの破損を防止する。標準ノズルは半球形状とし、突き出した金属部に接触した際も大きな怪我に繋がらないよう配慮した。3Dプリンタを用いた試作と材料選定の工夫により樹脂材料を減らし、軽量化と強度の両立を図った。

ガンタイプ外装デザイン Fig. 4 ガンタイプ外装デザイン

2-4 安全性、環境へ配慮した設計

2-4-1. 安全性

チューブのみを差し込み、エアを供給するだけで作動する。電気配線は不要で、ブローガンの取扱いが容易となる。また、パルス発生時に発生する衝撃が作業者の負担になりにくいように、ブローガン本体に慣性(重量)をもたせ、使用者にやさしい設計をしている。

2-4-2. 環境への配慮

 本製品はRoHS指令とREACH規則に対応した製品である。
既存の空気圧製品と部品の共通化をしているため、補修部品の入手性が容易であり、運搬にかかわるCO₂も削減できる。また、包装については、従来の梱包紙箱と梱包プラ材から、バイオマス材を10%以上使用している梱包材を使用している(Fig. 5)。

バイオ原料を使用した包装袋 Fig. 5 バイオ原料を使用した包装袋

3. 効果確認

 当社パルスブローと連続ブローの空気消費量、CO₂排出量、電力量を以下に示す(Table. 1)。
従来の連続ブローと比較した場合、圧縮空気(電気料金)を75%削減できる。連続ブロー(8時間/日、250日/年)の場合、圧縮空気は29,160㎥消費し、必要な電力量は4,053kWhとなる。当社製品を使用した場合は、それぞれ7,320㎥、1,017kWhとなる。さらにCO₂も75%削減され、年間1.3t-CO₂(圧縮空気1㎥あたりCO₂排出量60gで計算)の削減が見込まれる。

Table.1 効果確認 Table.1 効果確認

4. おわりに

 当社は、50万点以上の自動化製品を保有しており、多種多様な業界へ展開している。今後は、アジアやアフリカの国々など、産業の発展に伴い圧縮空気の利用が伸びる地域への展開を含め、SDGsやカーボンニュートラルの実現に向けて貢献していく。

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製品紹介 パルスブローバルブ(BNPシリーズ)はこちら

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