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CKD技報は10周年を迎えました。

この10年間で、私たちは多くの技術革新と新たな挑戦を共有してきました。これからも、技報を通じて皆様に最新の情報をお届けし続けていきたいと思います。引き続きご愛読とご支援をよろしくお願い申し上げます。

CKD TECHNICAL JOURNALCKD技報

CKD
TECHNICAL
JOURNAL
2026 Vol.12

助力装置活用による
生産現場フレキシブル化Factory Improvement Utilizing Human Assistive Devices

菅野 博之
  • 菅野 博之Hiroyuki Sugano
  • 機器事業本部 モーションシステムBU 生産技術部Production Engineering Department
    Motion System Business Unit Equipment Business Division

 少子高齢化が進む現代、働きやすい職場環境が求められる。特に重量物を取り扱う場合は危険を伴うため、クレーン運転業務特別教育・玉掛け技能講習等の資格が必要になる職場もあり、労働者確保がより困難になっている。
 当社工場では20kgを超える製品(=重量物)も多く、前述した課題に直面している。「重量物=クレーン作業や複数人作業」の概念を払拭し、資格不要かつ誰でも安全に作業できる生産ラインを実現するために助力機器の活用を推進してきた。
 本稿では、助力機器「パワフルアーム」の活用による“働きやすい職場環境整備”について紹介する。

In today’s society, the declining birthrates and aging population are advancing. Therefore, the demand for a more supportive and flexible working environment has been growing. In situations where heavy objects are handled, involve in inherent risk, specific certifications such as crane operator are required. This makes more difficult to secure human resources. Our Plant handles many products exceeding 20kg (heavy objects), is currently facing the aforementioned challenges. Our organization has promoted the use of assist devices to eliminate the notion that “heavy objects=crane operations or multi-person tasks.” And realize the production lines that anyone can work safely without any specific certifications. This article introduces improvements of working environment through the utilization of the human assistive devices, “Powerful Arm.”

1. はじめに

 当社の主力製品であるアブソデックスシリーズは、ラインアップのおよそ半数が重量物であり、生産への対応としてライン内にクレーンを導入している。製造工程内で製品1台につき5回の重量物作業があり、作業者のクレーン使用待ちとなる場面が見受けられる。またクレーン可動範囲内が過密状態になり、クレーンエリアに入りきらない重量物作業は二人作業で対応している。こういった課題への対策として、助力装置「パワフルアーム」を導入し、必要な場所・必要なタイミングで重量物作業ができるよう生産ラインの改善を進めてきた。

FFS概略工程説明図 Fig. 1 アブソデックスシリーズ

2. 助力装置の導入(クレーン・二人作業ありきからの脱却)

2-1 二人作業脱却

 アブソデックスのコイル組立作業は、油圧プレス台に34kgの重量物ワークを脱着する作業があり、クレーンエリア内に設備が入りきらないため二人作業で対応している。手作業による運搬のため、互いに声掛けして片持ちにならないよう、安全に配慮して作業しており、こういった負担を解消するため、パワフルアームの導入を図った。
 プレス台は設備に囲まれた場所にあり、回避してプレス機にアクセスする必要がある。作業動線やワークの取り回しを考慮し、オーバーハングして運搬ができるPAW-Aシリーズ(パレタイジング仕様)を採用した。

二人作業の工程 Fig. 2 二人作業の工程
導入検討・作業場の状況(正面) Fig. 3 導入検討・作業場の状況(正面)
導入したPAW-A Fig. 4 導入したPAW-A

 パワフルアームのアタッチメントは、フックで吊具を引っ掛けて使用するものが最もポピュラーであり、汎用性も高い。今回は対象ワークが限定されているため、専用アタッチメントで吊具レス化を図り、使いやすさを追求した。
 当社空気圧製品であるパワフルチャック(CKL2)を活用し、ワーク内径を把持する機構を考案した。またワーク形状に着目し、筒形状の一部に小さな段差があることから、把持に加えてアタッチメントを引っ掛けることで落下防止を図り、より安全にワークを保持できるようにした。このように、用途に合わせた専用アタッチメントの提案・開発ができる点も当社助力装置部門の強みである。
 本機導入により、これまで気を遣いながら二人で実施していた作業の簡素化・安全化に繋がった。加えて「二人作業のため別の作業者を呼びに行くムダ」「別の作業者が手を止めて対応するムダ」の排除で生産性12%向上に繋がった。

吊具レスアタッチメント Fig. 5 吊具レスアタッチメント

2-2 クレーンエリアからの脱出

 クレーンを要する作業が多く、クレーンエリア内は密集しており十分な移動経路が確保できていない。クレーン待ち低減や通路幅確保に向け、クレーン使用工程の一部をクレーンエリアから離脱させるため、パワフルアームの導入を企画した。
 アブソデックス完成品にオプションパーツを組み付ける工程で、ワーク総重量が94kgとなる。2016年に当企画を立案した際、パワフルアームの最大可搬質量80kgであったため、一度断念した。「もっと重いもの持てるようにしてほしい」という社内外の声が聞き入れられ、パワフルアームのモデルチェンジやラインアップ追加で、可搬質量100kg超のモデルが誕生した。これにより94kgワークをピックアップできるようにした。

 これまでクレーンでしか対応できなかった作業が、クレーンエリア外で実施できるようになり、「クレーン待ちのムダ」排除で生産性17%向上に繋がった。またクレーンエリア内の過密が軽減され、安全に作業および運搬ができるようになった。

 クレーンは利便性・汎用性が高いが、作業者が資格を取得する必要があり、講習を受けるためのコストと時間がかかる。クレーンに頼らず生産できる体制を目指し、前述のパワフルアームを含め合計4基のパワフルアームをライン導入した。

パワフルアーム可搬質量(カタログ抜粋) Fig. 6 パワフルアーム可搬質量(カタログ抜粋)
94kgワークの運搬 Fig. 7 94kgワークの運搬

3. 生産現場レイアウトの自由化

 従来のクレーンを使用したレイアウトは「クレーン使用が前提のためレイアウトが変えられない」という課題があった。クレーンエリアはライン全体の30%程度しか網羅しておらず、長期に渡り同じレイアウトで生産を続けていた。
 クレーン依存からの脱却により、組立から出荷まで直線的なレイアウトが実現可能となった。アブソデックスは台車でライン内を移動しており、改善前は遠回りかつ5回の切り返しがある動線を最短距離かつ1回の切り返しにすることができ、台車上で重心位置が高いまま重量物を運搬する落下リスクを低減できた。
 2016年ごろから取り組み、2024年にクレーンなしで生産できる「働きやすい職場環境」として1つの到達点を迎え、約20年使用したクレーンは撤去に踏み切った。現場からは「クレーン使用に関する資格取得の大変さがなくなり助かった」との声があり、達成感のある活動になった。

パワフルアーム導入のレイアウト効果 Fig. 8 パワフルアーム導入のレイアウト効果

4. おわりに

 助力装置の活用で、生産性・安全面で改善効果が得られた。また現場から生まれた意見が設計・開発に反映され、市場ニーズに合ったモノづくりに繋げることができた。
 当社の助力装置製品は、パワフルアームだけではない。より広い作業範囲を持つ「フレックスアーム」、インパクトドライバ等のツールを保持・サポートできる「コンパクトアーム」もラインアップされており、加工前金属材料の運搬や工具使用の負荷軽減を狙い、導入を企画している。重量物を取り扱う現場でも女性が活躍できるよう、取り組みを継続する。
 今後も自社製品を積極的に採用し、より働きやすい職場づくり、並びに工場見学を通してお客様に提案できる現場づくりに貢献していく。

フレックスアーム・FAWシリーズ Fig. 9 フレックスアーム・FAWシリーズ
コンパクトアーム・CAWシリーズ Fig. 10 コンパクトアーム・CAWシリーズ
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製品紹介 パワフルアーム(PAWシリーズ)はこちら

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