電磁弁作動方式:流体用電磁弁、正しく選択できていますか?
~直動式、パイロット式、パイロットキック式の違い~

流体用電磁弁には直動式、パイロット式、パイロットキック式の3種の動作形式があります。
どのように異なるのか、主な違いをご紹介します!

作動方式の違い

電磁弁は電磁石の力を利用し、弁体を開閉するバルブです。
電磁石で弁体を直接動かす直動式と、電磁石で開閉するパイロット弁を介して主弁体を動かすパイロット式があります。

直動式 パイロット式 パイロットキック式
作動原理 電磁石(ソレノイド)の吸引力のみで弁の開閉を行う。 電磁石(ソレノイド)によってパイロット弁を作動させ流体の圧力差によって作動する。作動のために最低作動圧力差が必要。 電磁石(ソレノイド)の吸引力とキックバネを利用し、吸引力と流体圧力によつて作動する。キックバネを使用することで無負荷でも作動する。
差圧 無負荷でも作動 必要 無負荷でも作動
取付姿勢 自在 自在(作動圧力差内) ①コイルを上にした垂直姿勢から水平姿勢
②コイルを上にした垂直姿勢
③自在
接続口径 主に小口径 中口径及び大口径 中口径及び大口径
代表機種 ABシリーズなど AP/ADシリーズなど ①APK11シリーズ
②APK21/ADK21シリーズ
③ADK11/ADK12シリーズ

選定の際には、特に差圧、取付姿勢、接続口径がポイントとなります。
では、動作がどのように異なるのかイメージ動画で確認してみましょう。

直動式

直動式は電磁石に通電し、プランジャを吸着させることにより、直接弁を開閉する構造です。
プランジャは磁性体の可動鉄心と弁体が一体化した構造になっています。
装置をコンパクトにしたい、高頻度で作動させたい時などにおすすめです。

パイロット式

パイロット式電磁弁は、下図の様に直動式電磁弁と主弁を組み合わせた構造です。
直動式電磁弁を切換え、それにより発生した内部圧力を用いて、大きな主弁を切換えるため、低電力で大流量の流体を制御することができます。
配管径が大きく、大流量を制御したい、できれば消費電力も抑えたいときにおすすめです。

パイロットキック式

パイロットキック式電磁弁は、直動式電磁弁のプランジャ(可動鉄芯)と入口側と出口側に圧力差がある場合は、パイロット式と同じ動作をします。
しかし、このタイプは圧力差が得られなくても、キックバネによって主弁を開くため、差圧(※)がゼロでも作動する特長があります。
※差圧=(入口側圧力)-(出口側圧力)のこと。
パイロット式で最低作動圧力差が得られない時や、入口側と出口側の差圧がわからないときなどにおすすめです。

まとめ

動作別電磁弁のラインナップ
直動式2・3ポート電磁弁(マルチレックスバルブ)AB・AG・GAB・GAGシリーズ
パイロット式2ポート電磁弁(マルチレックスバルブ)ADシリーズ
パイロットキック式2ポート電磁弁(マルチレックスバルブ)ADKシリーズ