電動グリッパの製品紹介と選び方

製造現場の自動化に欠かせない電動グリッパ。近年では、ワークの多様化、高精度化、省エネ化など、求められるレベルは日々進化しています。CKDの電動グリッパは、多品種ワークへの対応やソフトハンドリング、省スペース化といった様々な課題を解決できる製品を取り揃えています。
ここでは電動グリッパの選び方やCKDの製品ラインナップまで幅広く解説します。

CKDの電動グリッパ

CKDの電動グリッパは、従来のエアハンドの代替としてだけでなく、速度や把持力の調整など、電動化によるメリットを活かした多品種ワークへの対応とソフトハンドリングを実現しています。

CKDの電動グリッパは、お客様の次のような課題を解決します。
●エアハンドやエアチャックでは実現が難しい、多品種ワークに対応できる柔軟なハンドリングシステムを構築したい
●設備の省スペース化、省配線化を進めたい
●IoT化に対応したスマート工場に最適な電動グリッパを導入したい

電動グリッパの基本

電動グリッパの概要からメリット、電動グリッパの用途例を紹介します。

電動グリッパとは?電動ハンド、電動チャックとの違い

電動グリッパとは、電気の力でフィンガを開閉し、ワークを把持する自動化機器です。工場の製造ラインなどで部品の搬送や組立などに幅広く活用されています。

「電動ハンド」や「電動チャック」も電動グリッパと同じ意味で使われることがあります。 これらの言葉はそれぞれ微妙なニュアンスの違いはあるものの、実際には同じ意味で使われることがほとんどです。

電動グリッパを使うメリット

電動グリッパには多くのメリットがあり、自動化ラインの進化に貢献しています。電動グリッパは、単純な把持動作だけでなく、以下のような多彩な機能でより自由度の高いハンドリングを実現します。

機能 説明
把持力制御 壊れやすいワークでも適切な力で把持
速度制御(ソフトタッチ) 接触時の衝撃を和らげ、ワークへのダメージを軽減
把持検出(位置決め完了出力) ワークを正しく把持できたかを検出
把持位置制御 ワークの材質、形状、サイズに合わせた最適なハンドリングが可能

電動グリッパは、従来のエアハンドやエアチャックでは難しかった多品種少量生産への対応を可能にし、製造現場の自動化に貢献します。

電動グリッパの用途例

電動グリッパは、金属部品やプラスチック製品のほか、食品、医薬品、化粧品など、柔らかく変形しやすいものにも対応できる場合があります。

従来のエアハンドやエアチャックでは、ワークの材質に合わせた把持力の調整が難しく、壊れやすいものを扱うには工夫が必要でした。しかし、電動グリッパは把持力を細かく調整できるため、ソフトにワークを掴むことが可能です。

工程 用途例
搬送 ゴムシート、ゴム部品などの搬送
化粧品ボトル、チューブなどの搬送
医薬品、理化学用品などの搬送
組立 ゴムパッキン、ゴム栓の次工程への移載
金属部品の受け渡し
検査 良否判定による仕分け搬送

電動グリッパの選び方

電動グリッパを選ぶ際には、ワークや用途に合わせて最適な性能を持つ製品を選ぶことが重要です。

電動グリッパ本体の選定では、まずどのような作業に使用するのかを明確にしましょう。ワークの材質、形状、サイズ、重量や、搬送時の速度、位置決め精度などを考慮し、最適な製品を選択します。また、想定外の負荷がかかった場合の安全対策も考慮し、余裕を持った把持力・剛性を備えた製品を選びましょう。

電動グリッパはコントローラと組み合わせて使用します。選定する電動グリッパに対応したコントローラであることを確認しましょう。

電動グリッパを選ぶ際は、価格だけではなく性能や機能、耐久性なども含めて総合的に判断することが大切です。

電動グリッパのタイプと小爪の形状

電動グリッパの性能を最大限に引き出すためには、ワークの形状や材質に最適な小爪を選ぶことも重要です。電動グリッパのタイプは大きく分けて2フィンガタイプと3フィンガタイプに分類されます。

2フィンガタイプ

2フィンガタイプはワークを2点で把持するタイプです。汎用性が高く様々な形状のワークに対応できます。構造がシンプルなので比較的安価でメンテナンスも容易です。

3フィンガタイプ

3フィンガタイプはワークを3点で包み込むように把持するタイプです。丸型ワークのハンドリングに適しており、安定した把持が可能です。

電動グリッパ用コントローラの選び方(CKD製品)

CKDではこれまでの基本性能を継承しながら、大幅な小型化と機能拡充を実現した新世代コントローラをラインナップしています。ここではCKDの電動グリッパ用コントローラの選び方について、具体的な製品例を交えながら解説します。

簡単設定

初めて電動グリッパを導入する方や現場での調整作業を簡略化したい方にとって、コントローラの設定のしやすさは重要な選定ポイントです。CKDのECG、ECMGシリーズは、直感的な操作が可能な専用ソフトウェア「S-Tools」に対応しており、専門知識がなくても簡単に設定・操作を行うことができます。

省スペース

自動化ラインは限られたスペースを有効活用することが重要です。CKDのコントローラにはコンパクト設計で省スペース化に貢献する製品が揃っています。

ECGシリーズは従来モデルと比較して設置面積を最大38%削減しています。コントローラ同士の隣接設置が可能なため、狭い場所への設置も容易です。

ECMGシリーズは最大で16軸まで接続できる電動アクチュエータ用コントローラで、基本性能向上と省スペース化を実現。3種の動力電源供給方式から選択可能で、電流値による軸数の制限なく様々なアクチュエータに対応します。

対応機種と互換性

CKDは一種類のコントローラで複数の機種・サイズの電動グリッパに対応できる、優れた互換性を備えたコントローラをご用意しています。

複数の機種に対応できるコントローラを使用することで、選定と発注の工数、在庫削減が可能です。また、コントローラの操作方法の習熟が容易です。

選べる動力電源供給方式(CKDのECMGシリーズ)

CKDの電動グリッパ用コントローラは、配線方法の自由度が高いことも特徴です。用途やシステム構成に合わせて最適な動力電源供給方式を選択できます。

一括配線方式

通信ユニットから各ドライブユニットへ一括で電源供給を行う方式。スタンダードな配線方式です。

混在配線方式

消費電流の高いドライブユニットのみに別途電源供給を行う方式。電流値による接続軸数の制限がありません。

個別配線方式

各ドライブユニットに個別に電源供給を行う方式。電流値による接続軸数の制限がなく、高い安全性を確保できます。

コントローラ内蔵の電動グリッパ(FFLDシリーズ)

ロボット先端に最適なロングストローク&薄型の電動グリッパです。把持位置を任意に設定可能なため、幅広いサイズの多品種ワークをツールチェンジすることなく把持できます。また、コントローラを内蔵し省配線化を実現することで断線リスクも低減します。

ロボット本体の小型化に貢献

ボディの薄型化によりロボット先端の負荷と慣性モーメントを低減します。また、ロボット本体の小型化を可能にし、システム全体のコンパクト化に貢献します。

省スペース・省配線を追求

ボディの薄型化によりロボット先端の負荷と慣性モーメントを低減します。また、ロボット本体の小型化を可能にし、システム全体のコンパクト化に貢献します。

エアチャックという選択肢

電動グリッパと並んで製造現場で広く活用されているのがエアチャックです。エアチャックは圧縮空気の力を利用してワークを把持する機器でシンプルな構造です。

エアチャックは以下のようなケースに適しています。
●速度を重視した把持動作を行う場合
●ワークが決まっており、把持動作の変更が不要な場合
●コストを抑えたい場合
●軽量であることが求められる場合

エアチャックと電動グリッパにはそれぞれ下図のような特長があります。

注)使用条件や環境により異なる場合があります。

選定の際は、位置決め時間やソフトハンドリングの必要性、コストや環境性能などを考慮した上で最適な方を選択することが重要です。

CKDの特徴|全世界で約1,400社の企業との取引実績

CKDは「自動機械装置」と「機器製品」の両方を手掛ける世界的に見ても珍しい会社です。全世界で約1,400社(※)(内訳:国内 約1,100社、海外 約300社)の企業とお取引があり、お客様の課題解決に貢献しています。※地域間の重複あり

その実績と経験を基に開発されたCKDの電動グリッパは、高い性能と信頼性を誇り、自動車産業や電子機器産業、食品産業、医薬品産業、物流など、様々な分野で採用されています。

豊富な知識と経験を持つスタッフによる最適な機種選定のアドバイス、お客様のニーズに合わせたシステム構築の提案、導入後のアフターサポートなど、電動グリッパのことならCKDにお任せください。

CKDの製品ラインナップ

CKDはお客様の多様なニーズにお応えするため、豊富なラインナップの電動グリッパとコントローラをご用意しています。

●エア駆動のリニアスライドハンド「LSH」と同等の取付寸法・把持力で、既存設備への導入が容易な「FLSH」
●省スペース化を実現するコントローラ内蔵型「FFLD」
●丸型ワークのハンドリングに最適な「GCKW」
●電源OFF時でもワークを保持できる「DLSH」
●操作感はそのままに設置スペースは従来比38%で省スペース化を実現したコントローラ「ECG」
●専用ツール不要で簡単設定、交換ができるコントローラ「ESC4」
●最大16軸接続可能な電動アクチュエータ用多軸コントローラ「ECMG」

など、多彩な機種の中からお客様に最適なものをご提案いたします。

電動グリッパでお困りでしたらCKDにご相談ください

●「電動グリッパの導入を検討しているが、どの製品を選べば良いか分からない」
●「自社の課題に最適な電動グリッパシステムを構築したい」
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CKDは半世紀以上にわたり自動化技術と流体制御技術をリードしてきた実績と、50万アイテムを超える幅広い商品群でお客様のあらゆるニーズにお応えします。経験豊富なスタッフがお客様の課題や要望を丁寧にヒアリングし、最適な電動グリッパをご提案いたします。

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