エアチャックの製品紹介と選び方|最新機種のご紹介
工場の自動化ラインに欠かせないエアチャック。様々な分野でエアチャックが活躍しています。しかし、多くの方が「種類が多くて選定が難しい」「自社に最適なエアチャックを見つけたい」といった悩みをお持ちです。ここでは、エアチャックの基礎知識から、選び方のポイント、CKDの最新エアチャックシリーズまで分かりやすく解説します。
CKDのエアチャック
CKDでは、自動化工程のあらゆるニーズに応える、幅広いエアチャックをラインナップしています。小型軽量タイプからワイドストローク・高精度タイプまで、豊富な品揃えで様々なワークのハンドリングをサポートします。使いやすさを追求した設計で、生産性向上に貢献します。特に、次にご紹介する高耐久・長寿命を実現したHPシリーズは、多くのお客様に支持されている製品です。HPシリーズには測長機能を搭載したタイプもあり、ワークの寸法判定や設備の予知保全にも役立ちます。
最新のHPシリーズのエアチャック
CKDのHPシリーズの最新エアチャックの特徴をご紹介します。
HPシリーズとは?
HPシリーズは、従来製品を大幅に進化させた最新のエア機器です。HPシリーズにはエアチャックもラインナップされており、長寿命化を実現したHP1シリーズと、長寿命に加え測長機能を新たに搭載したHP2シリーズを展開しています。
従来のエアチャックでは、小型ハンドの場合、ストロークが短いため、シリンダスイッチの設置が困難でした。HP2シリーズではハンド本体にストローク検知センサを内蔵し、アンプも搭載。微小ワークでも掴むと同時に測長でき、正確に位置を検知します。
HPシリーズは、高い耐久性と測長機能による高度な制御を両立することで、生産現場の安定稼働、生産性向上に貢献します。
耐久回数が大幅向上し長寿命を実現したHP1シリーズ
CKDのHP1シリーズのエアチャックは、従来比30%アップの高剛性と従来比4倍の耐久性を実現したエアチャックです。製品の長寿命化により、メンテナンス頻度の大幅な削減と長期にわたる安定稼働が可能になりました。
HP1シリーズは、小型軽量から薄形タイプ、ロングストロークタイプ、幅広ロングタイプ、3方爪チャックまで、豊富なバリエーションを揃えています。
組立、ハンドリング、検査、実装など、様々な工程で使用可能です。高い耐久性が必要とされる過酷な環境にも対応しているので、お客様のニーズに最適な製品をお選びいただけます。
測長機能を実装したHP2シリーズ
CKDのHP2シリーズは、HP1シリーズの長寿命に加え、従来のエアチャックの課題を解決する測長機能を搭載した革新的なエアチャックです。耐振動・耐衝撃に優れた※LVDT方式のセンサを採用。変位センサをボディに内蔵し、業界初の一体構造とすることで高い精度を実現しました。ワークの寸法測定や小爪の摩耗を監視することで、品質管理の向上と予知保全の実現に貢献します。
※LVDT:Linear Variable Differential Transformerの略称で、機械的な変位を電気信号に変換して出力するセンサ。
エアチャックの基本
「エアチャック、エアグリッパ、エアハンドとの違いは?」「種類が多くて選定方法がわからない…」といった悩みをお持ちではありませんか?ここでは、エアチャックの基礎知識からメリット・デメリット、選び方までを分かりやすく解説します。
エアチャックとは?エアグリッパ、エアハンドとの違い
エアチャックとは、工場の自動化ラインやロボットなどで使用される機器で、圧縮空気の力を利用してワークを把持したり、開放したりするものです。「エアグリッパ」「エアハンド」と呼ばれることもありますが、これらは基本的に同義語です。一般的に、2つのツメでワークを掴むものを「ハンド」、3つのツメでワークを掴むものを「チャック」と呼ぶことが多いですが、明確な定義はありません。
エアチャックのメリット・デメリット
エアチャックは、シンプルな構造で扱いやすい反面、いくつかのデメリットも存在します。自動化ラインに導入する際には、メリット・デメリットを理解した上で検討を進める必要があります。
メリット![]() |
・構造がシンプルで扱いやすい
コントローラによる制御が必要な電動グリッパと比較して、構造・制御がシンプルで扱いやすい点が挙げられます。価格も電動グリッパに比べ安価です。 |
・軽量・コンパクトな設計が可能
小型・軽量に設計できるため、狭いスペースへの設置や可搬重量が制限されるロボットへの搭載に適しています。 |
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・耐環境性に優れている
防塵・防滴性能を備えた製品も多く、電気を利用する電動グリッパではなかなか対応できない粉塵や水滴が発生する環境でも使用できます。 |
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デメリット![]() |
・スピード・クッションコントロールが難しい
圧縮空気の力で動作するため、電動グリッパのように細かいスピード調整や把持力制御を行うことができません。繊細なハンドリングが必要な場合は注意が必要です。 |
・圧縮空気の供給が必要
動作には圧縮空気を利用するため、コンプレッサーなどの設備が必要となります。圧縮空気の供給が無い場所では、コストやランニングコストを考慮する必要があります。 |
エアチャックで掴むことができるワーク
エアチャックは、表に示すように様々なワークを扱うことができます。エアチャックは組立工程、ハンドリング工程、検査工程など、様々なシーンで活用されています。金属や樹脂、ガラスなど工業製品に欠かせない様々な材質に対応可能です。
工程 | 材質 | 例 | |
---|---|---|---|
組立 | 金属:アルミ、鉄、ステンレス網など | スマートフォン筐体、電子機器部品 | |
樹脂:ABS樹脂、PC樹脂など | 家電製品の外装、玩具 | ||
ガラス:液晶パネルやレンズなど | スマートフォン画面、カメラレンズ | ||
ハンドリング | 食品:飲料、菓子、食肉など | 食品工場での搬送、包装、箱詰め | |
医薬品:錠剤、カプセル、アンプルなど | 製薬工場での充填、検査、包装 | ||
検査 | 電子部品:ICチップ、抵抗など | 電子部品の外観検査、電気特性検査 | |
プリント基板 | プリント基板の実装検査、回路検査 |
エアチャックの選び方
エアチャックを適切に選定するには、ワークの特性や工程の要件に最適な製品を選ぶ必要があります。数あるエアチャックの中から最適な製品を選ぶために、以下の6つのポイントを検討しましょう。
ポイント | 詳細 |
---|---|
ワークの性質(大きさ・形状・重量・材質・表面状態・硬さ) | ワークの大きさや形状に合ったエアチャックの選定が必要です。ワーク径や把持に必要なストロークを確認しましょう。掴むワークの性質に合わせて、エアチャックの子爪の材質や形状を検討しましょう。 |
必要な速度・精度 | ハンドリング速度はサイクルタイムに影響します。エアチャックが高速で移動する場合は、把持力に余裕を持った選定が必要です。細かい作業には、高精度なエアチャックを選びましょう。 |
動作環境 | 粉塵やミストが発生する環境では、耐環境性が必須になります。ゴムカバー付きなど、エアチャックの動作環境にあわせた選定が必要です。 |
コストバランス | イニシャルコストとランニングコストのバランスを検討しましょう。製品価格が高くても長寿命・高剛性の製品を選ぶことで、結果的にランニングコストが安くなる場合もあります。 |
メンテナンス性 | 交換や調整が容易な製品を選び、ダウンタイムを最小限に抑えましょう。耐久性があるか、壊れてもすぐに交換できるか、予知保全が可能かなども考慮する必要があります。 |
設置スペース | 設置スペースの寸法制限や重量制限に合わせて、薄形タイプや軽量タイプなどを選定しましょう。 |
エアチャックの種類
エアチャックとひと口に言っても、その種類は多岐にわたります。ワークの形状や大きさ、求められる動作、作業環境によって最適なエアチャックは異なるため、それぞれのタイプの特徴を理解することが重要です。ここでは、代表的なエアチャックの種類をご紹介します。
平行ハンド
エアチャックの中でも最も一般的なタイプです。2つの爪が平行に動き、ワークを挟み把持します。シンプルな構造でワークの形状やサイズを選ばず、幅広い用途に適用できます。他のタイプと比べて構造がシンプルなので、比較的安価に入手できます。
薄形平行ハンド
薄形平行ハンドは、その名の通り薄くてコンパクトな設計が特徴のエアチャックです。限られたスペースでの作業や、軽量化が求められるロボットへの搭載などに最適です。
薄形でありながら、高い精度でワークを把持することができ、2ピストン・4ピストンなど高い把持力を持った製品もあります。
幅広平行ハンド
幅広平行ハンドはカニ型平行ハンドとも呼ばれ、その名の通り、カニのハサミのように横方向に動く爪を持つエアチャックです。左右の爪が平行を保ちながら開閉します。
爪の開閉幅が大きいため、様々なサイズのワークに対応できます。
180度開閉支点ハンド
180度開閉支点ハンドは、フィンガ部分が約180度まで大きく開くことが特徴のエアチャックです。この大きな開閉角度によって、ワークの取り出しや設置をスムーズに行えます。また、ワークとの干渉を最小限に抑えられるため、複雑な形状のワークや、周辺機器とのクリアランスが狭い工程にも最適です。
3方爪チャック
3方爪チャックは、3つの爪が中心に向かって同期して動くエアチャックです。円形や円筒形のワークを把持するのに適しており、ワークをしっかりと固定できるため、加工や組立工程で高い精度が求められる場面で活躍します。
3点でワークを支えるため、安定した把持力と高いセンタリング精度を実現します。
エアチャックを購入する際に検討すべき項目
エアチャックを購入する際には、動作仕様や機能面など、いくつかの検討項目があります。ここでは、エアチャック選定の際に失敗しないために、押さえておくべき重要なポイントをご紹介します。
剛性の強さ
エアチャックにおいて「剛性の強さ」は、ワークを掴んだ際の変形量が少ないことを意味します。剛性の高いエアチャックは、高精度な位置決め、安定した動作、長寿命化を実現します。
交換のしやすさ
エアチャックは、使用頻度や環境によって、消耗したり破損したりする可能性があります。そのため、エアチャックを選ぶ際にはメンテナンス性も重要な要素となります。
特に、チャックの交換のしやすさは、設備のダウンタイムを最小限に抑えるために非常に重要です。交換作業が容易なエアチャックは、メンテナンスコストの削減や安全性の向上にも貢献します。
製品寿命の長さ
長寿命なエアチャックを選ぶことで、交換頻度やメンテナンスコストを大幅に抑えられ、結果として生産コストの削減に繋がります。また廃棄物削減ができ、よりカーボンニュートラルに貢献します。
測長機能の有無
近年、生産現場では効率化や品質管理の高度化が進み、エアチャックにおいても単にワークを把持するだけでなく、より高度な機能が求められています。その代表的な機能の一つが「測長機能」です。
エアチャックの測長機能は、ワークの寸法を測定したり、エアチャックのフィンガ位置を正確に検知したりするものです。
予知保全の有無
エアチャックのフィンガ位置を常に監視することで、小爪の摩耗や部品の劣化を早期に検知できます。早期発見・早期対応により突発的な設備停止のリスクを低減し、安定稼働を実現します。
エアチャックでは難しかった予知保全ですが、CKDの測長機能付きエアチャックは、その高度なセンシング技術により予知保全を実現します。
電動グリッパという選択肢
これまで見てきたように、エアチャックは多くのメリットを持つ反面、スピード調整やクッション制御などの面で課題を抱えていることも事実です。これらの課題を解決するのが、電気の力で動く「電動グリッパ」です。

注)使用条件や環境により異なる場合があります。
電動グリッパは、電気の力で駆動・制御され、エアと比較するとフレキシブルな動作が得意です。
CKDではエアチャックと取付互換性のある電動グリッパもラインナップしています。
詳しくは電動グリッパの特集記事をご覧ください。
CKDの特長|50万点を超える製品群で幅広い分野・業種に対応
CKDは、医療、食品、自動車、半導体、工作機械、家電製品などあらゆる業界の自動化に貢献するため、現在は50万アイテムを超える製品をラインナップしています。
性能だけではなくデザインの質の高さにも定評があり、1980年以降117点のグッドデザイン賞を受賞しています。
豊富な導入実績、幅広い製品ラインナップ、高品質な製品、充実したサポート体制により、多くのお客様に選ばれています。
CKDの製品ラインナップ
CKDは、長年培ってきた技術力とノウハウを駆使し、あらゆるワークや工程に対応する、高品質で高機能なエアチャックを幅広くラインナップしています。
●高剛性・高精度・高耐久を実現した平行ハンド
●ガイド剛性1.3倍・従来比2倍以上の耐久性を実現した幅広平行ハンド
●フレキシブルなライン構成が可能な支点ハンド
●安定した把持力と高いセンタリング精度をもつ3方爪チャック
など、多彩な機種の中からお客様に最適なものをご提案いたします。
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●タクトタイムが早くすぐ壊れてしまう
●メンテナンスが大変で交換作業に時間がかかる
●壊れる前に交換したい
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