方向制御弁

高耐久機器で生産設備のエネルギー効率向上に寄与

THEME

「止まらない設備」を目指して空気圧機器の心臓部をつくる

生産設備は年々ハイスピード化し、使用される空気圧機器の動作回数も増えています。駆動機器は圧縮空気の流れ方向を切り替えることで動作しており、これを制御する方向制御弁は空気圧機器の心臓部とも例えられます。タクト時間が短く、高応答、高頻度でも長時間安定作動するタフさと、メンテナンスによる設備停止時間の最小化が求められています。

MISSION

提案力のある商品をカタチにする

私たちの部署は空気圧機器における市場ニーズの把握と要素研究、開発を行い、製品化へのあらゆる業務を通じてお客様のニーズにお応えします。こうした製品開発では、生産設備全体のエネルギー効率に着目したリデュースが重要だと考えています。例えば空気圧システムの動力となる圧縮空気は、クリーンなエネルギーのため、漏れなどの損失が発生しても油やガスのように大気や生産環境を汚損したりすることはありません。また目にみえないため、損失自体に気を止めていないのが実情です。しかしこの見えない小さな損失は、工場全体でみれば非常に大きな損失になり、不要な電力消費を招いています。つまり、この見えない損失である漏れを防げば、電力消費、ひいてはCO2を削減することができます。同様に交換頻度の少ない丈夫な機器を作れば、設備の停止時間、保守交換作業、産業廃棄物の削減などにもつなげることができ、生産に関わるさまざまな「常識」を塗り替えることになります。

APPROACH

2024年度グッドデザイン賞受賞「TVGシリーズ」
性能と保守の両面で「止まらない設備」を考える

CKDは弾性体シールの主弁構造にこだわり、パッキンや樹脂の改質、摺動面の面性状を改善することで様々な使用条件でも方向制御弁を長寿命化できる技術を磨いてきました。もし耐久性を優先してメタルスプールの主弁構造にすれば、弁部に弾性体のシール部材が介在せずエアが漏れてしまうためです。TVGシリーズでは「止まらない設備」をコンセプトに従来製品の構造を大きく見直しており、エア漏れを防ぎながら摩耗量を減らした主弁部によって、従来製品から2倍の耐久回数1億2000万回を実現しています。さらに材料メーカーと低吸湿で耐熱性に優れた樹脂を共同開発して、樹脂の劣化によるエア漏れを大幅に低減しています。新開発のコイルは防水仕様で、新磁路構造で従来比2倍の磁気効率を持ちます。PWM制御方式の基板でコイルの通電量を最小化した結果、消費電力を従来比83%も削減しました。

主弁部

無線通信による稼働

保守やメンテナンスによる設備停止時間を減らすことにも注力しています。機器同士を繋ぐ配線・配管といった中間部材は、設置場所によって何メートルも先から引き入れなければならず、物理的なわずらわしさだけでなく、断線のリスクがある場所では設置そのものを断念することもありました。TVGは無線通信対応なので、PLCとの接続線が要りません。ワークの近くに設置すれば駆動機器と繋がる配管も短くなり、メンテナンスにかかる時間も短縮できます。また動作回数をカウントする機能を通信機器に加え、ねじやガスケットの脱落防止機能や、インロー形状でプラグイン接続時に位置決めをサポートするなど細部に気を配りました。手動操作装置には不意の動作による誤操作防止カバーを搭載して、作業者の使い勝手と安全面に考慮しています。

VISION

商品を通じてお客様を笑顔にしたい

CKDは方向制御弁1台ずつにお客様が使用するアクチュエータと同じ容積を想定し、センサを設置して常に動作状況を確認するなど実使用に合わせた評価を行い、空気圧機器の信頼性向上を探究しています。また信頼性向上で培った検出技術を用いて、機器の故障診断など予防保全技術も研究しています。これらの技術は自動化が進む生産現場で、より生産性を向上させる技術です。私たちは空気圧機器の故障による設備停止がなくなるまで、製品の改善を行っていきます。そして信頼性だけでなく、私たちが培った技術や製品で、お客様や社会の様々な困り事を解決できるよう、取り組んでいきます。

© 2023 CKD Corporation.