パルスブローバルブ


THEME
パルスブローバルブ BNPシリーズは、圧縮空気を大量に消費するブロー作業において、電気を使わずにパルスエアを発生させ、最大75%の空気削減を実現する商品です。材料開発の技術者を主とする共創体制とCKDの技術基盤が融合し、世界の生産現場の環境負荷低減と作業性向上に貢献できる新たな商品を生み出しました。

MISSION
全世界でカーボンニュートラルやSDGsへの貢献意識が高まっている中、CKDは「健やかな地球環境」づくりに貢献することをPurposeに掲げ、環境に優しい商品を開発しています。新興国や発展途上国では、労働集約型の工場において多くの女性がエアブローの作業(異物吹き飛ばしなど)に従事しています。そのような東南アジアの生産現場から、女性も使いやすい省エネタイプのパルスブローガンを開発して欲しいという要求があったことから、パルスブローバルブの開発がスタートしていました。当時、私は材料開発に携わっており、展示会などで新材料に触れる機会はあるものの、どのように製品に応用できるのかといった市場や技術のニーズが見えにくいことなどに課題を感じていました。材料開発を行っても、ニーズとのずれが発生してしまう懸念に対して、「顧客の課題に近い領域で経験を積みたい」と考えたことがきっかけで、本開発へ参画することになりました。化学専攻で空圧機器の知識はなく、不安もありましたが、開発メンバーと共に顧客課題の解決と環境負荷低減の両立を目指しました。

APPROACH
この商品の最大の特徴は、CKD既存商品の4Gシリーズを流用した「内部パイロット方式」による、電気レスでパルスエアを発生する構造です。4Gデュアル弁を主弁とパイロット弁に分け、ブローエアの一部を、ニードル弁を通してパイロット弁へ導入することで、主弁が自動的にON/OFFを繰り返し、安定したパルスエアを生成します。内部のスプール構造と4Gシリーズ独自の長寿命技術を活かすことで、圧縮空気削減性と高耐久性を両立させます。私が引き継いだ段階で、これらの設計はある程度完成していましたが、製品化に向けた性能の安定化や操作性の向上には多くの課題が残っていました。


CAE解析

周波数調整つまみの操作
特に、周波数を5〜15Hzに収めるための流路設計は、ミクロン単位の寸法差が動作に影響する繊細な設計が必要で、複数回の試作と検証を重ねながら最適な寸法を探っていきました。また、On-Duty比(1周期におけるOn時間の割合)をピストンとスプールによって決定する新設計により、2つあった周波数調整つまみを1つに統合し、誰が使用しても安定した省エネ性能を発揮できるように改善しました。ガンタイプの外装設計では東南アジアの労働環境を考え、小さな手でも握りやすい形状や軽い操作力になるようなレバーを設計し、周波数調整部にはスライド式カバーを設け、誤操作防止と落下時の破損防止を両立させるなど、開発技術 、CAE解析など複数部門との共創により、性能・耐久性・安全性・環境配慮を高いレベルで統合した製品へと仕上げていきました。
VISION
パルスブローバルブ BNPシリーズは、食品生産工程や工作機械の周辺など多様な産業での活用が期待されています。人体に影響のない食品工程用グリスの採用を行ったり、耐油性の高いゴム材を使用したりすることにより、それらの環境下でも安全に利用できるバリエーションの拡充を進めています。展示会での反応や市場での販売実績も良好で、グッドデザイン賞や省エネ大賞など、社会的な評価もいただくことができました。今後はアジア・アフリカなど圧縮空気需要が増加する地域への展開を強化していくことで、様々な業種や地域の環境負荷低減に貢献していきたいと考えています。パルスブローバルブBNPシリーズは、世界中の現場で省エネと作業性向上を同時に実現する、持続可能な未来に向けた重要な製品として期待されています。私自身は現在、基礎技術グループでの材料開発に戻っていますが、この経験で得た「ニーズのもとから考える」姿勢は、今後の材料開発にも必ず活かせると感じています。要求を待つだけでなく、用途や現場を想像し、材料や解析の知見を組み合わせて提案できる技術者でありたいです。原理を理解し、試して、失敗して、また直す。その地道な繰り返しを楽しみながら、CKDらしい共創で、より現場に寄り添った価値ある材料の開発に挑戦していきます。

© 2023 CKD Corporation.