ヒューマンアシスト装置
THEME
高齢化が進む中、製造現場では重量物を扱う作業を起因とする労働災害が社会課題となっています。法令により性別や年齢によって扱う荷物の重さを制限する一方、作業者が限られる現場では人手不足も課題となっており、コロナ禍では突発的な休暇による生産性の低下も起こりました。産業界ではこうした慢性的・突発的な課題を解決するため、職場環境の改善が求められています。
MISSION
工場や建設現場などでは重量物を扱う作業が多くあり、そこで起きる労働災害の半数以上が腰痛です。作業者の負担や疲労といったフィジカルな要因を私たちの技術で支えたいと考え、CKDの流体制御技術を応用した空気圧式バランサユニットPAW(パワフルアーム)を開発しました。PAWはワークの質量を常時監視し、それに見合った圧力が自動で調整される仕組みとなっており、上限以下の質量であれば重さや姿勢を変えても常に自動でバランスし続けます。最大80kgまでのワークをアーム先端でバランスした状態で、任意の方向へハンドリング操作ができ、重量物の搬送作業に活用されています。初めて触る方なら驚かれるほど軽く滑らかで、人の動きに沿って動くため誰でも簡単に扱うことが可能です。圧迫感がなく人に危害を加えない優しいデザインや、万が一圧縮空気の供給や電源が切れてもワークの落下や作業者の怪我に繋がらないことなど、「ヒューマンアシスト」の基本構造を確立したPAWを市場に投入したことにより、市場からさらにパーソナルなサポートを求める声をいただくことにも繋がりました。
APPROACH
新たにラインアップしたCAW(コンパクトアーム)は、最大15kgまでの重たい工具などを保持する小さなヒューマンアシスト装置です。工具による締め付けや研磨といった繰り返し行う辛い作業による腰・肩・腕・手首への負担低減を図るために開発しました。重作業の際にならなくてはならない存在、愛着を持って長年使用して欲しいとの思いを込めて、性能面はもちろん、既存の作業台にも簡単に取り付けられます。また扱いが容易で、メンテナンス性も高いといった、生産現場との親和性を重視した設計となっています。
製造現場でよく見られるバネ式のツールバランサは、工具などを使いやすい場所に留めてくれるため大変便利ですが、いざ使用するときはバランスされた位置から引き寄せ、作業者は常に引っ張られた状態で作業を続ける必要があります。CKDの製造現場でも数多く利用していますが、特に女性の方から長時間作業を続けると腕や手首が辛いとの声が挙がっていました。そうした声のあった組み立て工程にCAWの試作品を設置して実際に使用してもらい、「感想を貰ってフィードバックする」を繰り返すことで、製造現場の方にとって理想の性能とデザインを実現した商品を開発することができました。
実証試験
フレキシブルな動作
VISION
今後も少子高齢化が進行していくことはあきらかで、人手不足や女性の社会進出、高齢化社会に対する職場環境の整備を望む声は更に高まると予想しています。また、工場のスマートファクトリー化などで新たなニーズも創出されると考えています。私たちは社会環境の変化に柔軟に対応し、さらなるニーズを取り入れて、CKDの持つ技術でヒューマンアシスト商品をさらに発展させていきます。そして、全ての働く人のための安全・安心な作業環境の整備や、生産性の向上に貢献するべく取り組んでいきます。
© 2023 CKD Corporation.