Human Assist

現場に残るニッチな力仕事を
パワフルアームで劇的に軽減

淡口(うすくち)醤油のトップメーカーであるヒガシマル醬油様。播磨地方の鉄分が極めて少ない揖保川の伏流水、赤穂の塩、播磨地方の大豆・小麦・米を主に使って造られる同社の淡口醤油は、彩を大切にする和食には欠かせない食材です。同社の製品は、今では海外市場にも多く輸出されるようになったそうですが、輸出に際して、国内市場向けにはなかった力仕事を追加して行う必要がありました。輸出用は、増えているとはいえ、国内市場向けよりも少なく、その力仕事を自動化する設備の導入には躊躇があったそう。こうした職場の課題を解決したのが弊社のヒューマンアシスト製品「パワフルアーム」です。今回はパワフルアーム導入の経緯と効果について伺いました。

力仕事をロボット以外で軽減したい
柔軟に利用できる手段を模索

一皿一椀の四季折々の彩と旬の味覚を注ぐ和食の価値は、世界の人々から高く評価され、ユネスコ世界文化遺産に登録されました。海外にも和食を提供する料理店が年々増え、ヒガシマル醬油様の淡口醤油もまた、国内市場だけでなく、海外市場にも輸出されるようになりました。

今回パワフルアームで扱う、一斗(約18リットル)缶に醤油が詰められた製品自体は、海外向けも国内向けも同じものです。ただし、出荷作業に1点だけ違いがあります。海外向けは輸送中の品質保持や破損を防ぐため、一つひとつの缶を段ボール製箱型カバーの中に入れて、湿気や衝撃から守るようにしておく必要があることです。

ヒガシマル醬油株式会社 執行役員 製造部 部長 一鷹 栄二 氏の写真
ヒガシマル醬油株式会社
執行役員 製造部 部長
一鷹 栄二 氏

約23kgの醤油が詰まった缶を持ち上げて、床に置いたカバーの中に入れていくこの仕上げ作業は、結構な力仕事です。これまでは週に一度、手の空いている社員さんを集め、約300缶分を人海戦術でこなしていたそう。ただし、「輸出するために欠かせないとはいえ、社員にとって負担なことは確かでした。また、こんな力仕事は、とても女性に任せることはできませんでした」と同社 執行役員 製造部 部長の一鷹栄二氏は当時を振り返ります。

そうした力仕事は、自動梱包機やロボットを使って省力化すべき、と考える方がいるかもしれません。しかし、輸出用はコストをかけて専用の自動化装置を導入するほどの量ではないのだそう。また、ロボットは設置位置が定まり、作業対象の位置も決まっていれば省力化と効率化に活用できますが、ヒガシマル醬油様はもっと柔軟に利用できる手段を求めていたそうです。

こうした要求を満たす手段として、重たい一斗缶を持ち上げる作業を軽減するヒューマンアシスト製品の一種、ハンドクレーンの採用も検討したそうです。自動化装置に比べれば、安価で、気軽に導入・運用が可能です。採用一歩手前までいったのですが、缶が落下するような突発的事態が起きた際にアームが勢いよく跳ね上がる危険性があり、採用を見送ったそうです。

作業効率を落とさずに
負担軽減と安全性確保を実現

ヒガシマル醬油株式会社 製造部 液体加工課 副班長 髙橋 健二 氏の写真
ヒガシマル醬油株式会社
製造部 液体加工課 副班長
髙橋 健二 氏

そんな現場の課題にブレークスルーが見つかったのは、2015年に開催された包装用の技術と装置の展示会「JAPAN PACK 2015」のこと。同社 製造部 液体加工課 副班長の髙橋健二氏は、弊社のヒューマンアシスト製品「パワフルアーム」のデモと仕組みの説明から、「重たいモノを扱う作業が多い自社の生産現場で役立つ場面が必ずあると直感しました」と話します。その時点で明確な応用先が頭に浮かんだわけではないが、パワフルアーム固有の特長を熟慮するうちに、輸入用の仕上げ梱包作業の負担軽減に役立つことに気付き、そして、現場と導入に向けた検討を開始したとのことです。

ヒガシマル醬油様の現場が考える、導入に際して譲れない条件は大きく2つあったそうです。ひとつは、作業効率を落とすことなく負担を軽減できること。缶を持ち上げてカバーに収め、所定の場所に収めるまでの一連の作業を、1缶当たり30秒以内で終えることが目標でした。もうひとつは、作業者の安全性が確保されていること。「社員がすぐそばにいる場所で使い、人を支援するツールである以上、これは必要不可欠な条件でした」と一鷹氏は話します。

結果的に、パワフルアームは、2つの条件のいずれもクリアしました。これは、アームにかかる重量が突発的に変化した際にも、支える力を速やかに調整する機能が、パワフルアームに備わっていたからです。

人手で作業をしていたときには、カバーを床に置き、持ち上げた重たい缶を、その開口部に狙いを定めて納めていましたが、パワフルアームでは、重たい缶を持ち上げて、そこで操作ハンドルから手を離すと、空中に缶が吊り上がった状態がキープできます。「CKDさんに依頼して、操作ハンドルを作業しやすい円形に改良してもらい、そこにセンサーを仕込んで、手を離したことを検知したらアームの動きがピタリと止まるように支持力を制御するようにしてもらいました」と髙橋氏。こうした機構を組み込んだことで、宙吊りになった缶の下からカバーを被せる方法を取ることが可能になり、作業効率が格段に上がりました。

また、運んでいる缶が落下した際にもアシストする力を速やかに変えて、危険を感じるほど動くことなくアームの位置を停止させることができます。さらに、突然、停電したり、支持力を生み出すエアーの供給が途絶えたりしても、危険性を及ぼさないような改良を希望されたので、弊社は安全性をさらに高めました。

ヒガシマル醬油様と弊社の作り込みの末、2018年3月にパワフルアームが正式導入されました。現在、現場で作業しているヒガシマル醬油様の社員さんは、「人手でこなしていた時には、腰に負担を感じながら作業していました。今は全く負担を感じません」と語っているそうです。

実際にヒガシマル醬油様で導入されているパワフルアームで、缶をカバーに入れる作業をしている様子の写真
実際にヒガシマル醬油様で導入されているパワフルアームで、缶をカバーに入れる作業をしている様子

もっと安全に、もっと使いやすく
二人三脚で継続的に改良

ヒガシマル醬油様と弊社は、導入後も、運用しながら、さらなる改良を継続しています。「当初は、3軸のアームの動きの自由度を多少制限した方が効率的だと考えていました。ところが、作業者が扱いに慣れてくると、動きの自由度が大きい方が効率は高まるというので設定を変えました」(髙橋氏)。また、同社が導入したパワフルアームには、作業シーンに対応するため、缶を吊り上げるアタッチメントのシャフトを長くしていました。ところが、シャフトの缶を取り付けるのとは逆の側に組み込まれていた負荷検知用センサーが、長いシャフトがあだとなってテコの原理で壊れてしまいました。当初は気づかなかった故障が起きましたが、「CKDさんは迅速に改善に動いてくれました」と髙橋氏は当時を振り返っています。

業界を問わず、工場の中には、自動化装置を導入するほど作業頻度が高いわけではないが、力仕事を余儀なくされるケースが多々あることかと思います。しかし、工場全体の作業効率を俯瞰すれば、こうしたニッチな力仕事が、全体の効率向上を妨げる場合も多いのではないでしょうか。現場に残る力仕事を、工夫によって、安全で負担の少ないものに変え、「みんなで楽しく作業できる職場にしたいものです」と一鷹氏は語ります。こうした職場の課題改善に、パワフルアームは他に代わるものがない効果をもたらせると自信を持っています。